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熊本の森林や木材の特徴

山

熊本県の木材

くまもとには、多彩な品種のスギ・ヒノキがあります

熊本県は、県土の6割を森林が占めています。
本県のスギ林では、スギの挿し木造林が盛んに行われてきたため、品種を揃えることにより成長速度、 樹幹の形、材質ともに均質性が高くなり、効率的な加工が可能となるという特徴があります。
スギは全県に約15品種が植栽されていますが、そのうち、メアサ、アヤスギ、ヤブクグリオビアカ、シャカインの5品種は広い地域 に植えられており、それぞれの品種に固有の特性を有しています。

杉

スギは、日本にしかない固有種で、九州及び四国・本州で広く植えられています。木目がまっすぐで、柔らかく加工性に優れているため、構造材、造作材、羽柄材、下地材に加え、建具材や家具材など様々な分野に幅広く利用されます。

檜

ヒノキは日本及び台湾に分布し、日本では福島県以南に植えられています。材質が緻密で色がよく、木目が通直で均質であることから狂いが少なく、独特の芳香を有し、耐湿、耐水、対蟻性に優れています。
古くから建築用材として利用され、九州地方では特に土台に多用されるほか、床板、敷居、鴨居、廻縁等の内装材・仕上材として利用されます。

ナンゴウヒ

ナンゴウヒ

ナンゴウヒは、全国唯一のヒノキ挿し木品種です。約260年前の宝永年間あたりから直挿しによって代々伝えられたもので、分布は阿蘇周辺一帯に限られています。
ナンゴウヒは、初期成長は遅く、枝が太く暴れることから徹底した枝打ちが必要ですが、根元の曲がりが少ないうえ徳利病にかかりにくく、通直完満で樹齢100年以上の高齢になっても成長が落ちないことが特徴です。製材品としては、心材が淡桃黄白色で白色の辺材との間に差異がなく、光沢をもち、実生ヒノキと比べ特有の硬さと香気を持ち、柔軟性があります。
このような特長から、郷土の宝として一部の篤林家で育成され、高齢級材は銘木として市場等を通じて高値で取引されてきました。

熊本の代表的なスギ品種

アヤスギ

アヤスギ

アヤスギは、九州中部以北の代表的な品種です。樹幹は通直、完満で根曲がり、幹曲がりが少ないことに加え、心材色は『赤心』と呼ばれる赤褐色となり、建築用材として賞用されています。

ヤブクグリ

ヤブクグリ

ヤブクグリは、小国林業の代表的な品種です。メアサと同様の性質を持っており、心材色 は湿潤地で黒味がかった赤、乾燥地で赤褐色 を呈します。他の品種と比較し抗菌作用が高いといわれていまた、高齢になるほど強度が増すという特性を有しています。

シャカイン

シャカイン

シャカインは、本県中央部に造林されている品種で、樹幹は通直で湾曲性もなく、心材色は鮮紅色。他の品種と比較し、高い強度を有しています。

オビアカ

オビアカ

オビアカは、宮崎県を中心に南九州に分布するオビスギ群の代表的な品種で、心材色は 鮮紅色ないし赤紫色、黒褐色になります。材には樹脂分が多く、比重が小さくねばりがあります。

メアサ

メアサの高齢級の材は「笹杢」を呈し、重宝されます。
メアサは、九州地方における在来品種の中で最も古い品種で、根元曲がりや樹幹の蛇行性がみられることなどの欠点があるものの、高齢になり80年生を超えると曲がりが目立たなくなります。
心材色は淡紅色を呈します。

九州の森林・林業の歴史を語る「御神木」

阿弥陀杉(小国町)

▲阿弥陀杉(小国町)

九州では800年ほど前からスギのさし木が行われてきました。現在、数百年の樹齢を誇るスギの巨木が、各地の神社で大切に護られています。大分県の宇佐神宮、熊本県阿蘇市の国造神社、高森町の高森阿蘇神社、小国町黒渕の阿弥陀杉、水上村の市房神社、宮崎県の高千穂神社、岩戸神社、鹿児島県の霧島神宮蒲生神社などにあるスギの巨木は、なんと全て同一の遺伝子型を持つことが明らかになっています。

市房杉(水上村)

▲市房杉(水上村)

これらから再び穂を取り、別の場所に挿し付けて御神木として祀ることを繰り返したものと考えられます。交通機関も道も発達していない時代に、九州の脊梁山地奥深くに分け入って挿し木を繰り返していったということであり、当時の人々がいか に「メアサ」というスギを貴重なものと考えていたかが想像されます。

このページの内容は熊本県発行の「くまもと県産製材品カタログ」から転載しています。
カタログをご覧になりたい方は「熊本県ホームページ」をご覧ください。

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